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事業の本質

 とある飲食店で設備投資に関する打ち合わせをした話です。

 

福井県は様々な地域で「蕎麦」が特産になっており、蕎麦屋が多くあります。

今回お話しする飲食店も蕎麦屋です。

飲食店での提供以外にも、持ち帰り・土産用に機械で打った蕎麦を製造しており、その製麺機を入れ替えたい(設備更新)と言う話で、ものづくり補助金を活用できないかという相談でした。

 

「ものづくり補助金」を知っている人であれば、『設備更新では難しい』と考えるでしょうし、私もそう回答しました。新たな製造方法であったり、その設備から作られる商品に何かしらの新しさが無いと採択は難しい、、、それがものづくり補助金です。

 

ものづくり補助金 福井県地域事務局

 

本題ですが、

じっくり話を聞くと、そもそも設備投資が必要なのか?という疑問が湧いてきました。

既存機は20年以上使っており老朽化が著しいのですが、稼働は週1回+年末フル稼働です。

下記が、損益と販売状況です。

 

利益の中には人件費が含まれていますので、会社の利益とは違います。

付加価値額と言った方が良いでしょうか。

 

今回の設備は600万円以上する代物です。

年末の需要はあるにしても、通常は週1回しか稼働しない設備に600万円も投資すべきでしょうか?

もちろん、事業を継続する為には不可欠な設備ですが、継続すべき事業かどうかの検討はどこかへ行ってしまっていました。

 

 

今回、経営者さんに自ら気付いてもらい、設備更新ではない方向で検討を進める事になりました。

設備を入れて、生産量を増やし、販売量を増やす策も考えられますが、保有する経営資源を考慮すると、当社にとってそれは得策ではないと認識を共有する事も出来ました。

 

 

 

特に補助金の発表があると、ここぞとばかりに設備投資を検討する方が増えます。設備投資が悪いとは言いませんが、一歩立ち止まって、その事業の見直しをして頂きたいと思います。

  • 現状の利益
  • 投資後の利益(改善額)
  • 投資額
  • 今後の販売動向(市場性)
  • 自動化の程度
  • 新技術獲得、新サービス提供の可否

様々な観点で分析をして、投資判断をして頂きたいと思います。